夜桜。
天平の丘公園は、日がな一日美しい。
昔は染井吉野のたおやかさ、清々しさが際立って見えたものですが、年を追うごとに八重桜の良さも感じられるようになってきました。
そして4月23日、麗らかな春の午後。散策しつつ日が暮れるのを待ちました。
今年は月の出の遅い時期の満開。当日は22:30頃でしたでしょうか、流石に待てずに月のない写真になりましたが空を縁どり、まあるく枝に花をつける様子は雪洞(ぼんぼり)のように見えます。これはこれで素敵。
2年ぶりに訪ね、思い出したのは3年前の薄墨桜。
24年前、4月21日に逝った、その人を想って撮った朝と夜を振り返りつつ、医学や医薬が進んだ現代ならば、それほどまでに若くして命を落とさずにすんだかもしれないと思うことがあります。そして自ずと傍らにいた愛犬グーのことも想いだされ、幾ら月日が過ぎても死による別れの涙は、枯れることなく流れセンチメンタルはますます積もるのですが……。
それでも、人を歓喜させ、明るい未来を予感させる桜の力に酔い、今年もシャッターを切りました。
ふと口ずさんだのは松任谷由実さんの『経る時』。
3月から4月、蕾から桜吹雪舞う季節の移ろいと切なさを歌った名曲です。10代から20代の頃に聞いた曲に去来するのは「誰か」ではなくて「私」。その頃、胸ときめかせ、喜怒哀楽のすべてを溢れんばかりに放っていた自分への愛歌。
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