「祟りじゃー」と叫びながら蔵書のお手入れ 100均グッズでできちゃう本のクリーニング術 


先日、しまい込んだままだった本をやっと見つけ出しました。恐らく四半世紀~20年ほど箱の中で眠っていたかと思います。以前から気になっていたのですが捜索すれば、埃だらけになるのは間違いなかったので勇気が出ませんでした

探していたのは「泉美咲月」の素のひとつ、横溝正史大先生のご本、2015年に亡くなられた金子國義先生が表紙を飾っていたロマン文庫などなど小中学校の愛読書たちです。まー、早熟というか、結局出版界に飛び込む訳ですから、そもそもなんでも早くて前のめりなんです(笑)。

しかし、本は出してみたものの……。案の定、埃や汚れ、劣化で厳しい状況です。長い間、箱の中で眠っていましたから。

そのまま本棚に並べるのは衛生上、健康上も悪いのでお手入れをすることにしました。という訳で、また珍しく実用的なお話しを(笑)。普段、素敵な旅を演出しつつ意図して生活感を出さないのでいろんな意味で誤解されがちですがごくごく普通に暮らしてます(笑)。

近頃はAmazonなどで古本が安く手に入ります。資料にしたい貴重な本、ブームは去ったけど読んでみたい本、驚くほど安く届けてくれて嬉しい。一方で拙著や制作した本がやすいと凹む……。

とういう話しは置いておき そうした商品が届くと感心するのは「意外とキレイ」。調べたところ古本屋さんなどが実践するクリーニング方法があるのを知りました。以来、自分の本の手入れに役立てています。

そこでこの機会に私なりのお手入れ法をご紹介します 個人の蔵書に対してのやり方なのでとり入れ方は自己判断でお願いします。

【100均で揃う、あると便利な古本再生グッズ】
・ヤスリ(取っ手付き)
・紙やすり
・ウェットティッシュ(アルコール入り除菌タイプ)
・ほうき型(またはモップ型)静電気クリーナー
・マスク


【作業する手順】 ※必ずマスクをして行いましょう
① なるべく屋外で、カバーを外し、天(あたま)の部分の埃を払う。アルコール入り&除菌ウェットティッシュで拭きます。本の束(背表紙)部分を持って振る、裏表表紙を叩くようにするとページの合間の埃が落ちます。掃除機を使って除去するのもおススメ。コーナーノズルやブラシなどを使い分けしてください。

② (できるだけ)2日程度天日干しし、埃、カビ、ダニなどを取り除く。再度、軽く叩く、振るなどして取り込む。
③ ウェットティッシュで再度カバーや本体を拭きます。エタノールを使うパターンもあるそうですが揮発性のあるアルコール入り除菌タイプで拭く方が簡単で失敗がありません。また、カバーを拭いたら本体から外し、別途乾かしてください。特に折の部分が痛んでいるカバーはそこに水分がしみ込んで破れやすくなります。濡れた状態で本を重ねるとくっつきやすく破損の原因になります。

コート紙(ツヤ加工してある紙)やPP紙(コーティング加工)などの場合、二度拭きなしのマイペットで拭くのを勧めている方もいますが、私はウェットティッシュで十分かと思います。汚れ落とし兼消臭にもなりますし直接手に触れるものなので気になる方は重曹スプレーセスキスプレーなどを用いても良いと思います。直接本に吹きかけず乾いた布にまず噴射するといいでしょう。尚、オレンジ成分入りの洗剤を使うと印刷がにじんだり、落ちたりするので使用しないでください。

マット紙など水分を染み込みやすいものは消しゴムを推奨されますが力加減で破損も考えられ、面倒なので私は用いません。こうしたクリーニングって自分が納得できるところまででいいと思うのです。

これだけで大分綺麗になるはず!

④ ページの汚れを取り除きます。
背表紙を除く3か所にヤスリをかけます。難関は天の汚れです。

本棚に並べていても埃が溜まりやすく、また日焼け、シミ、カビの目立つ箇所でもあります。私は以前、煙草を吸っていたのでヤニも付着していると思います。そこでお手入れにヤスリを使います。カバーは必ず外してください。

ヤスリは取っ手のついたものが力を加え安くて便利。

本と並行に、軽く滑らせるようにこすってください。最初は束を挟んで、途中から逆に持ち帰ると端と端が均等に削れます。

⑤ 削ると毛羽立つので細かい目の紙やすりで仕上げます。束部分を持ってパタパタ振り、片手で叩くようにして削った紙や埃を払ってください。ページをパラパラ捲って埃を飛ばすにも良いでしょう。最後に静電気クリーナーを使って細かい埃を取り除きます。気になるようなら再度、ウェットティッシュで拭きましょう。

いかがでしょう? キレイになりましたねー。

もっと手ごわいのがあったのですが写真を撮る前にやっつけちゃいまして(笑)。

横溝先生の本で一番劣化がひどかったのは「八つ墓村」。「祟りじゃ〜っ! 八つ墓の祟りじゃ〜っ!」というキャッチーな角川映画の叫び声で広く知られた名作です。

懐かしくて「祟りじゃー」と叫びながらクリーニング(笑)。本と映画が連動して活気あった時代が懐かしいものです。ボロボロになるほど読んだんですから好きだったんでしょうね(妙に客観的)。また分厚い文庫本なので読む時間も長く、その分、カバーも傷みやすかったかと思います。とくに黒い装丁ですから美しさと神秘さが際立つ反面、汚れや破れ、折跡なども目立ちやすいです。

改めみると袖にテープで補強した後がありました。

直し直し読んでいた少女時代の自分を覗き見たような気分で懐かしく、胸が熱くなりました。

⑥ 痛んで破れそうな箇所はテープで補強します

あー、スッキリ。

臭いが気になるようでしたら箱に脱臭剤や重曹を本と共に入れて数日消臭します。紙は臭いを吸いやすいですし長期に渡って締まってある場合はカビやダニが心配でしたが2、3日昼前後のお時間に天日干しをすると臭いは軽減されるました。ファブリーズなどの除菌消臭剤の使用は自己判断でどうぞ。またドライヤーの温風で臭いを飛ばすこともできるそうです。

私は以上の方法を総合し、天日干しを経てクリーニング後、重曹スプレーをして乾かし重曹を入れた箱の中に本を入れ、仕上げにエアコン(温風)の前で1日消臭しました(笑)。

単行本も同様にお手入れできます。こちら小学校高学年から愛読していた阿刀田高先生のご本。

阿刀田先生は単行本が多い。

こちらもウェットティッシュで拭くだけで綺麗になります。ビニールカバー付きの本は汚れが少ないものの、その分カバーに汚れが付着しています。

こちらは潔く破棄し拭き清めました。

保存状態は基より本には皮脂なども付着しやすく、カビや汚れの原因になりがちです。日頃から読み終えたら除菌ウェットティッシュで拭き、乾かしてからしまうといいかもしれませんね。部屋はガラス扉のついた大きな作り付けの本棚になっているので普段は除湿剤&消臭剤を入れるようにしています。

では快適な読書生活にお役立てください。




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