江戸の春の銘菓 長命寺、山本やの桜もち


暖かったり寒かったり、不順な日々が続きますね。

最近は取材が立て込み、ゆっくり花々を愛でる散歩の時間も作れませんが時折見かけるフリージアやクリスマスローズといった春の花が咲くひだまりをみつけると、ポッと心があったかくなりるものです。

3月になってホテルや街角のパティスリーの季節商品は一気に桜色に染まりました。特にホテルはインバウンドのせいか、日本の象徴である桜のアイテム、スイーツの推しが年々強くなっている気がします。

とはいえ、この季節になると思いだすのは、やはり日本の銘菓、桜もちではないでしょうか。で花のお江戸は長命寺、山本やは私にとって桜もちの代表。西の道明寺、東の長命寺と呼ばれ、関東では、このお寺の名物である薄焼きのタネに餡を包み、桜の葉の塩漬けを巻いたものが主流です。

元祖と呼ばれるだけあって見た目も味も、ちょっと違います。今では、ビニールで作られた葉で風情を残していものもある中、葉桜の時期に漬け込まれた葉っぱがたっぷり3枚も巻かれています。しょっぱく、すっぱく、そして、甘い餡とのコンビネーションはこれまで食べてきた桜もちの概念を吹き飛ばします。甘いのが苦手という人もこれなら食べられるのでは? 食物繊維の塊で歯ごたえもあります(笑)

ふと思いだし、かつて取材をした際の写真を探してみましたら桜もちの写真は二枚しか撮ってなくてビックリ。葉っぱを撮ったバージョンくらい撮影しておこうよ、ワタシと反省しました

さてここ、山本やは、享保2年に初代である山本新六が今と同様、隅田川を彩る桜の葉を集めて塩漬けにして巻いたスタイルを考案し長命寺の門前で売り始めたのが起こり。いまも変らずにこの商品だけを売り続けています。かの文豪、芥川龍之介も『本所両国』でこの山本やの桜もちについて書き記しているといいます。

朝生と言われる朝作ってその日に売り切る昔ながらの無添加。店頭では300円で煎茶とともに味わえ、お持ち帰りは1個200円。箱詰めもあります。年間を通じて売られているのですがいっそう賑わうのが桜の時期。店頭は大忙しになるので座れないこともあります。そんな時はお土産に買い求め、隅田川見物をしながら味わってみてはいかがでしょう?

すぐ近くには徳川八代将軍吉宗の時代に植えられた墨堤植桜の碑や「都鳥さへ夜長のころは水に歌書く夢も見る」と刻まれた野口雨情記念碑などもあります。


浅草の駅からは徒歩15分~20分。車では、8分ほどと少し離れた場所にありますが訪ねる価値のあり。実は私はこの季節に出回る桜製品の独特の香料が苦手。また関東スタイルの桜もちよりも道明寺の方が好きなんですね。でも唯一、こちらは好物。ぜひお試しください。あ、お参りも忘れずに

長命寺 桜もち(山本や)
東京都墨田区向島5-1-14
電話:03-3622-3266



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