父の旅 父が見た国々


今日、6月28日は父の命日。30年前、53歳で逝った彼は競走馬の調教師でした。40代は精力的に世界の競馬場のある都市を旅し、その時に撮ってきた写真と体験が私の旅の原点となりました。

先日、香港・浅水湾の天后廟でふと蘇ったのが父のアルバムにあるタイガーバームガーデンの風景でした。当時、「変わった観光地だなー」と面食らったものですが、今じゃけっして嫌いじゃありません(笑)。むしろ好きで現存してなくて残念。そのエピソードを書こうと思ったタイミングが、はからずも命日直前。それはきっと父なりのメッセージのように思います。

亡くなった時、私は22歳を迎えたばかりで妹は18歳、弟は14歳。月日は瞬く間に流れ、父と生きた時間よりも、いない人生の方がずっと長くなりました。

姉弟の中では一番長く時間を共有した私でも、常に忙しかった彼との記憶はほんの僅か。その中でも想い出の多くを占めているのが旅行談で、どの写真の父も今の私より若い。

海外旅行は今ほど簡単じゃなかったですしインターネットもなかった時代。ですが旅で得た感動と想い出は、鮮やかに届いていました。ソフトとかハードとか、媒体やツールではない、響くのはやっぱり実体験ですよね、お父さん。


数十年ぶりにアルバムを開くと1976年頃から80年代前半、欧米、アジアと中々目まぐるしく数カ国周遊で旅をしていたのに気づきました。飛行機の窓からシャッターを切り、初めて見る光景、文化に高揚し目を見張った父。写真の端々に感動と喜びも写り込んでいて微笑ましい。しいていうなら料理写真がない! 食道楽だったはずなのにまったくない!ここは似てない(笑)。

病魔に気づく1年前の1981年6月、アンカレッジ経由、シャルル・ド・ゴール空港を経てロンドンへ。第202回 EPSOM DERBY視察・ダービーステークス観戦では偶然エリザベス女王と居合わせ(きっとものすごく嬉しかったはず)、翌日はニュー・マーケットでナショナル・スタッドを見学、ジュネーブ、ローマを経て週末はフランスのシャンティ競馬場でジョッキー・クラブ賞を観戦。馬主、馬の血統評論家や専門誌の記者も同行。のちに掲載された記事や名刺がアルバムに貼られています。ダービーステークスは今年第239回が開催されました。


◆モンマルトルの丘にて

そうした経験を我が子にさせたいと小学生のうちから海外旅行を経験させてくれたり、海外で見聞きしたマナーや文化が視察から帰国する度に導入され、ある日突然、ナイフとフォークの食生活が始まった……なんてエピソードも(笑)。

香水(姉妹にはジャン デプレ「バラ ベルサイユ」時々ニナリッチ「レールデュタン」が定番)、エルメス・ロンシャンカップ限定スカーフ、シャネルのバッグ、すでに閉店した三越パリで買い求めたカメオ、香港で探してきた下駄のように大きく龍の彫り物が立派な硯などの小中学生に買ってくるものとは思えないお土産も早逝することを思えば、気の早いプレゼントであり審美眼を磨くことを知るきっかけだった気がします。

マリリン・モンローが愛したシャネルのNo.5がお気に入りで視察に行く度に求めてきて、車に芳香剤代わりに置くのでいつも後部座席で酔いそうになったり、エルメスのスカーフを大人買いしスーツの裏地にして「おとうさんって、まるで〇くざの親分のようなセンス」と少女のワタシを驚愕させたりしたのも良い想い出です(笑)。

父から口伝された「絶対に行ってみたい!」と思ったところは20代のうちに大方叶えていました。あまり興味を覚えなかった香港、そして昨日まで気づいてなかったフィリピンと気づけば50代になってからシンクロ。同じ場所に立ち同じものを撮っている偶然が父と共に旅をしたかのような気持ちにさせてくれました。時間のある時に写真をデータにして整理しつつ彼の軌跡をたどろうと思います。

【おそらく1976年頃 マニラ リサール公園/ホセ・リサール記念館】


とくにこのリサールが背後から撃たれ処刑される絵は衝撃的で心に焼き付きました。観光名所故ということもありますが、父も同様だったのでしょう。共に撮影しています。

【わたし撮影 2017年8月 マニラ リサール公園/ホセ・リサール記念館】


彼が生きていたら83歳。「なんでもいい、自分が一番好きなもの、得意なもので一番をとれ。そして胸を張って生きろ」そう生前言い続けていた父は、52歳になった今の私になんて言ってくれるでしょうか。

さて、玉座に座った王さま風写真は当時香港にあったシーパレスというレストランの記念写真サービス(もれなく有料)と思われます。子供の前では強面だった父も旅先ではお茶目な表情を残していて、それもまた旅の持つ力。ちなみに私だったら絶対やらない😆

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