浅水湾に神々大集合 香港開運スポット 天后廟 参拝


香港の道教神社、寺院、パワースポットの中でも行きたかった場所のひとつが浅水湾にある天后廟。浅月湾は香港の南端にあるリゾート地であり、九山から龍脈を通って飛んできた九龍が水を飲みにくる終着点と言われています。三日月形のビーチには個性的な形をした高級住宅が並んでいます。印象はアジアの高級リゾート地というより、ちょっと熱海っぽくてユニーク。

20代半ば、森瑤子先生著の小説『浅水湾の月』を読んで以来、ここにのぼる月が見たいと思ってきた場所です。


映画『慕情』他、様々な作品のロケ地としても知られています。……なんて他のサイト見てコピペしてて映画を見たことがない人も多いでしょ?(笑)。森先生が『慕情』にインスパイアされて『浅水湾の月』を書いたように、ワタクシも当然、その流れで見ております。さらに今回、念願の浅水湾詣でですから、当然復習

AmazonDVDコレクションで1000円でした。名作がお手軽価格って素晴らしい VHSで見た昔がまた懐かしいですが。貝殻はフィリピン・パングラオ島のビーチで拾ったものだけど

そしてもう一か所、行きたいと思っていたのが天后廟。キレイに整地された浜辺にはシー・ビュー・プロムナードという遊歩道があって、東に向かって歩いていくと迷わず参拝することができます。

見えてきたのは賑々しい神々のエリア。大好物


こちら、航海、漁業の守護神と信仰される神様、媽祖(別称/天上聖母、天后、天妃)を祀るお宮です。仏教を信仰する「寺院」ではないので、日本語でカテゴライズするならば廟、もしくは神を祀る「神社(shrine)」が相応しいですね。最近では英語で表現する場合、日本古来の神道=shinto shrine、神様を祀った社、聖堂、廟、聖地、殿堂、霊場=shrineと呼ぶ傾向があるようで、海外の神様をお祀りしている場所を「神社」と翻訳することが増えてきました。

すでに写真を撮りながらニヤニヤ(もちろんひとりで)。入る前から、そうとう楽しくなっていました 雨上がりの浜辺はどんよりと曇って、絶好の(皮肉)参拝日和でしたので、写真はそこそこ明るめに補正しております

まずは観音風媽祖様。モザイク造りでお美しいの媽祖様が海を見つめて佇んでおいでです。

航海漁業の守護神とあって、港町、香港には天后廟は九龍エリア・油麻地、そして香港島・銅鑼灣他、大小数々お祀りされていて、その信仰の篤さをはかり知ることができます。天后媽祖天上聖母他の名で呼ばれ、由来や説も様々。道教に馴染みの薄い私たち日本人にはわかりにくいかも知れませんね。中国・福建省から全土に広がり、台湾、香港、マカオにも伝わり、日本は横浜中華街に横浜媽祖廟があります。


◆いろんな角度から撮りたい(笑)

ワタクシのバイブル、窪徳忠著『道教の神々』 (19講談社学術文庫)によると福建省莆田市の林 愿の六女に生まれ、口がきけないためにと名づけられた娘が媽祖天上聖母という説があります。黙は道士によって道を授けられ神異を表すようなりました。ある日、機を織っていたところ気を失い、難破する父や兄を救う夢を見ました。あわてて助けようとしたところ、母親に起こされたために目が覚め長兄だけ救えず、実際にその夢通りになったと言います。

また10世紀後半に存在した吉凶禍福を予知できた莆田市の巫女という説もあり、その発祥、祖は信仰者が増えるごとに変化していきました。もともと、この地方の人々が信仰していた海の守護神は他にいたそうなのですが、媽祖が合体し数々の伝説、伝記が盛り込まれたため、言い伝えも多様可。13世紀後半には中国全土に広がり、多くの媽祖廟が建てられました。途中、観音様が出現し世を救済するという普門示現、観音信仰と習合してアジア各地では媽祖ミックスの観音像が海辺に祀られています。

例えばベトナム・ダナンのレディブッダもそのひとつ。

浅水湾・天后廟にも観音スタイルが建立されています。

↓廟の右手にある、天后スタイルの媽祖様、スタンダードなお姿。

人々の信仰と神へのすがる想いがこうして神を育てるのでしょうね。

媽祖様の名称ですが、元王朝では天妃、清朝では天后と王の正妻に封号を下賜したことに基づき、やや格式ばった言い方をする時は「天妃」「天后」と呼び、媽祖廟も同じく、天后廟または天妃廟とするそうです

などと天后廟でお祀りする主祭神について参考文献も交えてご紹介したところで、その賑々しい風景をご覧ください


橋の左から右へ渡ると寿命が3日延びるという長寿橋。廟の前は風水で縁起のいい数字とされる「八」に因んだ八角形。そこに霊験あらたかな神々がご鎮座しておられます。そして参拝者も楽しそうなところいい。


魚の口の中にお金が入ると財運に授かれると誰かが言い出したんでしょうねぇ。運だめしも踏まえて、みなさん、せっせと励んでいます。登竜門の語源となった、黄河の中でも流れが急な竜門という滝を登り切った鯉が龍になるという故事に因んで鯉は立身出世の象徴として中国圏ではとても好まれます。

日本人が台座に書いてある文字を見たままに「王母賜寿像」とか「寿賜母王像」と勝手に名づけた上(←人さまのこととはいえ、恥ずかしいので文字小さくしました、誤ったままコピペされ続け、Webメディアやブログで広まっている、ご奉納の天后像。「王母」=「天上聖母」。 台座にある「王母賜寿」は像の名前ではなく「王母(媽祖、天上聖母、天后、天妃)に寿を賜る」という意味。

信心される方々が思い思いの神像をご奉納するので統一感が今一つないのですが、そこも好き モザイクなのでいわゆるインスタ映えポイントの模様。香港風、ガウディのグエル公園的なの。

アジアの国々では仏像や神像を寄進することが信仰の証、祈願の仕方とされています。ちなみにタイではそのトップランキング1位は「お寺」。いずれにせよ、せっせと信心・寄進(お金やお供え)し念願が叶ったらお礼をする、さらに開運して儲かるというポジティブ連鎖へ向けた全力さが素晴らしい(笑)。

こうした「幸せになりたい」という皆々様の祈願のおかげで神様オールスターズ状態。結果、全方位のご利益に結び付けてくれそうなので、ますますの人気パワースポットになっております たとえば月老とも呼ばれる月下老人。唐の文語伝奇小説集で李復言著『続玄怪録』に登場し、男女の縁を取り持ったことから縁結び、恋愛成就の神様とされ、とても人気。赤い糸でグルグル巻き(笑)。香港では黄大仙にある月下老人も有名です。

そうそう、境内にあるヒンデゥー教のブラフマー神は香港でも人気。街角の宝石店で翡翠やゴールドの像を度々見かけました。道教でなくてもいいんだ(笑)。

そして三陽開泰に因んだ三羊。

陰陽五行に基づく三陽=三つの陽とは、まず陰極まって陽となる冬至に一陽。日本でも冬至に穴八幡宮で一陽来復御守が配布されますね。さらに旧暦十二月に二陽、中国の春節(旧正月)には三陽と三回陽が転じるタイミング。そうして冬が終わって陰が消え去り、陽が極まり待ち望んだ春になり、人生において万事順調に運ぶことを意味する三陽開泰という言葉が生まれました。

その「陽」と羊(ひつじ)の「羊」の発音が同じであり、吉祥の言葉に表されるように「羊」は中国では伝統的な縁起物、幸せを運ぶ動物、神への生贄、貢物とされたことに因んで、羊3頭による三陽開泰像が幸せを運ぶ象徴として祀られます。苦難という冬の時期を堪え、春(開運)を待ち望む方、ぜひお参りください。

パワースポットと呼ばれる場所に詣でて、神様にねだれば運が開ける(開けた気になる)と誤解している方もいて時に残念に感じることがあります。参拝で大切なのは、日々努力、精進、辛抱し、福の訪れを準備すること。そして神仏に祈り背中を押して貰う。旅先でそんな神々との出逢いが生まれたら素敵

潮が満ちるとこの八角を描く場所も波で覆われるといいます。

そちらもちょっと見てみたい。すぐ近くの赤柱(スタンレー)に天后廟があるそうで、そちらもお参りしたいです。

いずれにせよ、浅水湾は今後、滞在して取材したいと願っています。媽祖様のお導きに従ってその日を楽しみに

浅水湾 天后廟
【Tin Hau Temple】



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