もしも「タイで必ず体験すべきことは?」と尋ねられたならば、私は迷わず「スパ!」と答えます。そこには日本でなかなか得ることのできない深い癒しと心身を喜ばせてくれる麗しい演出があるのです。
東洋一、魅惑のスパ天国、タイ
スパ天国、タイ。とくにバンコクは道々に「SPA」の文字と看板が立ち並びます。ホテルスパ、一軒家スパ、デイスパ他、様式と料金は様々ですがリラックス&リフレッシュのための施設に溢れています。
タイといえばインドから仏教と共に伝わった仏教医学やアーユルヴェーダに影響された伝統医療のひとつ、古式マッサージ。その総本山である寺院、ワット・ポーは伝統医学学校を構えて教育や普及に努め、境内ではマッサージを受けることができます。
ワット・ポーに残される伝統療法の図解
このように伝統的治療の根付いた国がさらに進化したのは1994年のこと。バンヤンツリー・プーケットが提案したトロピカル・ガーデン・スパがその先駆者。瞬く間に世界の注目を集め、各々変容し「タイ式スパ」を広めていきました。南国ならではの自然が織り成す癒しのムードの中でおこなうトリートメントはまさに極楽。伝統医療に世界のマッサージ法、美容法を融合しさせた施術、さらにタイ産のハーブ、野菜や果物、穀物などの食材をケアに用いつつ疲れや痛みにアプローチ、改善を施します。
各店、各スパブランドは思い思いのシグネチャーメニューを提案するだけでなく設え、香りや音楽などの演出を凝らし、五感、さらに六感に到達させることを目的とするスパもあります。だからこそセレクトが悩みどころ。当然、ガイドブックやWebでもその特徴と価格を知ることはできますが、みなさんが知りたいのは確実な実体験者の推薦ではないでしょうか?
自然と仏教と融合するディバナ・ナーチャー・スパ
雨に濡れた美しい緑に囲まれた邸宅。全16室のトリートメントルームがありグループ最大の規模
そこでおススメしたいのは『ディバナ・ナーチャー・スパ』。タイ屈指、高級一軒家スパで広く知れ渡る人気店、ディヴァナ・グループのひとつです。広い庭園、芝生の奥に待ち構えるのは広々とした邸宅。まるでタイマダムの家に招かれたかのような優雅さと落ち着きがあり、存在そのものが贅沢です。
ディバナ・ナーチャー・スパ Divana Nurture Spa
住所:71 Sukhumvit 11, North Klongtoey, Wattana, Bangkok 10110,Thailand
電話:+66 (0) 2-651-2916
営業時間:11:00~23:00 ※土曜、日曜、月曜 10:00~23:00
共にラストブッキング 21:00
定休日:無休
予約・問い合わせメールアドレス:dn@divana-dvn.com
URL:http://www.divanaspa.com/NurtureSpa/
ディバナとはインドの言葉。すべてのゲストに愛情を降り注ぐ女神の「愛への熱い思い」を意味し、ナーチャーとは「ネーチャー」、自然です。グループの中でもより良質で安心な素材にこだわり、女神の慈愛によって自然に還してくれるのです。
そしてまたアクセスも悪くありません。最寄り駅はBTSナナ駅で歩いて7、8分の場所に位置します。慣れない土地な上に蒸し暑さ、雨期には突然の雨といった天候の心配もあります。でも大丈夫。なぜなら雨もしのげる自家用トゥクトゥクの無料送迎付きです。トゥクトゥクはあらかじめリクエストしておけば予約の15分前にナナ駅3番から出てすぐ、Soi11の入り口まで迎えにきてくれます。また帰りもナナ駅、前後のアソーク駅、プルンチット駅まで送ってくれるので安心です。
ディヴァナ仕様のトゥクトゥクは一般車両と比べてノーブルで高級感がある
さて、スパの醍醐味はその設え。トゥクトゥクを降り案内されるままに一歩足を踏み入れた瞬間、辺りの喧噪を忘れるほどの光景とおもてなしが待ち構えています。芳しい香り漂う中、ナーチャ・スパのシンボルである蓮の花やモチーフを凝らした調度品に目を奪われ、瞬時にうっとり夢心地になってしまうはずです。
レセプションをはじめ、その設えはまるで個人宅に招かれたように麗しく、つろげる
メニューには70分からのマッサージ、フェイシャル。さらに趣向を凝らしたコースメニューもあります。お値段の相場は1,450バーツから。それらはフット・ソークと呼ばれる足湯からスタートし中には200分を超えるものもあり、終了後にタイ料理が食べられるコースまであります。
兼ねてより私はタイでの無理な観光は強いていません。若いときならいざ知らず、炎天下の中、息も絶え絶えに寺社巡りをするほど私たちはもうタフではないのですから。また往路のフライトの疲れも旅の間に解消しておきたいところです。
だからこそ『Phikat Bua Arokaya』(240分/9,850バーツ(約32,392円)がおススメ。まずみなさんは経験したことのない所用時間にまず驚かれることでしょう。お値段も高く感じるかもしれませんが、この内容の施術を日本やヨーロッパで受けたら倍以上の価格となります。だからこそタイのスパは贅沢で、かけがえないのです。そして最初に断っておきますが心地よさに思いの外あっという間。天空を漂うような、かつてない安らぎを覚える時間を手に入れられます。
蓮に誘われる、究極のトリートメント
美しいだけでなく施術に使われるプロダクトを目で確かめることができ、自信と誇りを感じることができる
トリートメントルームを開けると、ベッドの上に施術に使われる品々が。まるでギフトのようです。そしてメニュー名であるBuaとは蓮のこと、Phikatとは蓮の花粉を意味します。泥から生まれ、美しい花を咲かせる蓮は『ディバナ・ナーチャー・スパ』のシンボル。仏教国タイで仏の智慧や慈悲の象徴しもっとも重用される花でスパの世界観も物語ります。
そのトレイに並ぶのは蓮の花びらを散りばめたタイ・オーガニック・ライスワインのボトル。蓮の種の粉をハチミツで練ったクレイ状のボディ・ポリッシュ、肌に輝きを与える蓮の花粉とターメリックのパウダーなど、珍しいアイテムが。食材といったナチュラル成分をトリートメントに用いるのがこのスパの心得でもあります。
コースの前にはフット・ソーク。バラやコブミカンを浮かべた水で足を濯ぎ、天然塩などのナチュラル素材で作ったスクラブをする
さて、夢の時間の幕を開けです。フット・ソークのあとは、シグネチャー・プロダクトを使ったマッサージ。天然の発酵化粧水の役割も果たす、ライスワインで清めるように洗い流し、温めた花崗岩を使ってマッサージ。凝りと筋肉がほぐれていくのを実感することでしょう。
疲れた体に常に授けられるのはセラピストからの無心の”手当て”
スチームサウナとシャワーの後、温まりしなやかになった身体をタイ古式マッサージとアロマオイルマッサージを織り交ぜたYokee Massageで身体の芯まで揉み解します。コースは終盤、フェイシャルマッサージと全身に及び、締めくくりはバラの花びらを浮かべたロイヤル・ハニー・バス。セラピストは終始癒しに努め、最初から最後までお姫様の気分で過ごせます。終わりを迎えた瞬間、名残り惜しく感じ、時間を巻き戻したいほどです。タイ独特の蒸し暑さも雨季に感じるだるさも吹き飛んでしまいます。
私がスパに求めるのは深い癒し。それを導くのは「無」なのだとある時、気づきました。セラピストとゲストの間に共有されるべきは「無心」です。高度な技術とホスピタリティを誇る最高峰のスパではマッサージの施術中、おしゃべりは当然禁止です。
儀式のように厳かで躊躇いのない施術こそ、良質なスパの証。でも技だけではありません。セラピストのメンタリティ、真心は技術以上に大切。心を無にしゲストの心と身体の声に耳を澄ませ、手当てを施せる技術者こそ、深い癒しをもたらしてくれるのです。そうした意味でも『ディバナ・ナーチャー・スパ』を率いるディバナ・グループはトップクラスの高級スパと数えています。
終了後はマンゴー&ステーキのデザートとハーブティがディヴァナグループの流儀
このスパの使い勝手の良さは午前から23時までと長い営業時間にもあります。私はこの旅でのエアはスクートを利用しましたが帰国便はTZ292、00:45出発です。遅いフライトの場合、レイトチェックアウトが便利ですがホテルによっては1泊分の料金が加算される場合もあります。そうした場合は午後の時間を観光やショッピングにあて、夕方からスパで長めの施術を受けて、とことん疲れを癒して帰るのもおススメ。レセプションではスーツケースを預かってくれますし空港までのタクシーも時間通りに手配してくれます。なにより軽くなった身体で日本へと帰るのは心地が良いものです。強く記憶に残る時間を得ることができるタイの選りすぐりのスパ、必ずご体験ください。
次回はチットロム駅から直結、オークラ・プレステージ・バンコクをご紹介します。
ディバナ・ナーチャー・スパ Divana Nurture Spa
住所:71 Sukhumvit 11, North Klongtoey, Wattana, Bangkok 10110,Thailand
電話:+66 (0) 2-651-2916
営業時間:11:00~23:00 ※土曜、日曜、月曜 10:00~23:00
共にラストブッキング 21:00
定休日:無休
予約・問い合わせメールアドレス:dn@divana-dvn.com
URL:http://www.divanaspa.com/NurtureSpa/Feedback-Contact.php
協力:ディバナ・ナーチャー・スパ/タイ国政府観光庁/スクート
<バックナンバー>
※本記事は2017年「CheRish」にて連載した記事を連載終了後に移行、改稿したものです。
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