「冷えと痛みにアプローチ 伝統療法・ヒロットへの誘い」 フィリピン、癒しのヒロット旅Vol.1


フィリピン。とても近くて美しい国。東京からマニラまでの渡航は約4、5時間、時差も1時間とわずかです。青い海と空、7107からなる緑に縁どられた島、咲き誇る花々、なにより朗らかでやさしい気質を持つフィリピンの人々が満面の笑みで迎えてくれる常夏の楽園なのです。

新しいフィリピンの旅を探して

去る2017年8月、そのフィリピンを初めて訪ねました。白米を主食とし中国やスペインの影響を受けたフィリピン料理は日本人の口にとても合います。物価も安く豊かな自然に恵まれリゾート地としての財産も豊富。NYの旅行雑誌『Travel + Leisure』の読者が選んだ2017年度『世界のトップ10の島』の1位は2年連続でパラワン島、3位にはボラカイ島が選ばれるなど、世界中を魅了する国なのです。しかし残念なことに、これほど近くにありながら私たちには、まだまだ未知なる場所。だからこそ、ありふれた観光地に飽きた旅人には新鮮です。そこで旅しつつフィリピンが”楽園”である意味を追求しました。

そうしてたどり着いたのがマッサージ『ヒロット(Hilot)』。5世紀頃から続く伝統療法です。ヒロットとはフィリピンの公用語のひとつタガログ語によるもので「やさしく触れる」という意味。温めたバナナの葉を使うのが主となる特徴で、ほとんどのスパのメニューに取り入れられています。


 icon-camera ヒロットの施術に使う温め、ココナッツオイルを塗ったバナナの葉。エドサ・シャングリ・ラ マニラのCHIスパにて

伝統療法ヒロットとは?

そこで再訪の際、深くヒロットを知るため、ウェルネス・スパ・リゾート施設『ナーチャー・ウェルネス・ビレッジ』のオーナーであり、フィリピン・スパ・アソシエーションの発足の折、会長を務めたキャシーさん(Ms.Cathy Turvill)に教えを請うことにしました。残念ながら日本で出回っているヒロットについての情報は曖昧なもの、事実性の低いものが多く実際に受けてみるとますます疑問が湧き、つじつまが合わないのです。


 icon-camera 『ナーチャー・ウェルネス・ビレッジ』のオーナー、キャシーさん

「ヒロットはフィリピン人が古くから行ってきた身体のバランスを整える民間療法です。薬も医者もなかった時代、身近にあったバナナの葉やココナッツオイルを使って不調を探しマッサージによって血流やリンパの流れを促す治療を行っています」とキャシーさん。

産前産後に始まり風邪や捻挫をしたとき、原因不明の不調が続くとき、人々はまず治療を行えるヒロット師を探したといいます。お産婆さんもそのひとりです。そしてかつてヒロット師はヒーラーのような存在で技はその家系に口伝で伝えられ”神業”のような術式でした。そうした歴史あるヒロットを体験し、まず興味を持ったのはバナナの葉による施術。日本にも古くから枇杷の葉にもぐさを置くお灸がありますが、各スパではバナナの葉をシップのように背中に貼るトリートメントを行います。


 icon-camera 冷えた箇所を深く強いディープティシューマッサージを使って血行を促す。ナーチャー・ウェルネス・ビレッジにて

一方、伝統的なヒロットは、まず触診することから始まります。これは手で触り冷えた部分を探しあてるため。同様に温めたバナナの葉にココナッツオイルを塗り肌を滑らせる診断をします。すると血のめぐりの悪い、冷たい箇所で葉が止まる。そこにオイルマッサージを施すことで血流を良くし身体のバランスを整え痛みを取り去るのです。このようにヒロットはあなたの痛みを探し出し、まるでマザータッチのようにいたわり揉み解すテクニック。日本にも他の国にもないトリートメントとの出逢いです。

フィリピンでは、このヒロットのエッセンスを盛り込んだテクニックがセラピストの国家試験の必須科目となっていて現代に受け継がれています。提供する施設、技術によって料金もそれぞれ。街角のマッサージ店~ホテルスパでは日本円にして1,000円~9,000円(1時間程)と開きがあります。また多くの「ヒロット」は「温めたバナナの葉を背中などに貼る」という伝統療法のニュアンスを残したシグネチャーメニューとなっています。

フィリピン式温活 癒しのヒロット旅への誘い

ヒロットの概念は自然界に存在する「土、風、火、水」の4要素の調和。さらに「冷」「温」のバランスを整えること。温めることで癒す、それはつらい冷えを抱える私たちにとって嬉しい、いわゆる”温活”トリートメントです。解され、身体が楽になることで自律神経が整えられ深い癒しをもたらしてくれます。さらに伝統療法には竹の棒2本で足裏を押すフィリピン式リフレクソロジー『ダグダガイ』、『ベントーサ』と呼ばれるカッピングで旅人をいたわります。


 icon-camera グラスに小さなキャンドルを入れて火を灯るカッピング『ベントーサ』。ザ・ペニンシュラマニラ、ザ・ペニンシュラスパにて

こうしてキャシーさんの手ほどきでヒロットによる癒しの旅がスタート。彼女曰くフィリピンの風土に育まれた明るく笑顔の絶えない気質とエネルギーをコントローラーする力を持っているフィリピン人は学ばなくてもセラピーを施せる人が沢山いるのだといいます。まさにヒーラー。ますます、楽しみですね。季節は秋から冬へと変わろうとしています。年末年始の休暇には木枯らし吹く日本から私たちを心底温めてくれる楽園、フィリピンへと一緒にでかけてみませんか?

次回からはマニラとタガイタイにある3つのホテル&ホテルスパをご紹介。まずはフィリピン式スパの先駆者『ナーチャー・ウェルネス・ビレッジ』にご案内します。

協力:フィリピン政府観光省フィリピン航空ナーチャー・ウェルネス・ビレッジエドサ・シャングリ・ラ マニラザ・ペニンシュラマニラ 以上 順不同

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※本記事は2017年「CheRish」にて連載した記事を連載終了後に移行、改稿したものです。



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