「心も身体も強くなりたい。旅して美しくなる土地は何処に？ 2017年初夏、そこで私は香港を訪ねました。まず興味を持ったのは街角でよく目にする涼茶舗。ホンコンニーズ（香港人）が体調管理に取り入れている、漢方ドリンクを飲ませてくれるお店のことです。暑く湿度の高い香港では身体によけいな熱が無敵になる」旅して強く、美しくなる香港Vol.1

「涼茶舗の漢方ドリンクで無敵になる」旅して強く、美しくなる香港Vol.1

2018.12.29
＜香港＞

心も身体も強くなりたい。旅して美しくなる土地は何処に？ 2017年初夏、そこで私は香港を訪ねました。まず興味を持ったのは街角でよく目にする涼茶舗。ホンコンニーズ（香港人）が体調管理に取り入れている、漢方ドリンクを飲ませてくれるお店のことです。暑く湿度の高い香港では身体によけいな熱がたまると不調を呼ぶと考えられていて老若男女、なにかというと涼茶舗に駆け込みます。前年マカオで初めて（食べ過ぎで）涼茶舗の涼茶なるものを飲み、興味を持った私はこうして旅の行く先を決めたのです。

食べて、飲んで、整えるという考え方

古くから中国で重用される思想、薬食同源。薬を飲むことと食べることは同じという意味です。食材には様々な薬効があり体質、季節によって穏やかに作用し、調子を整えてくれるという考え方です。漢方も同様で東洋医学には欠かせない療法です。

百貨店や駅などにも漢方ドリンクを扱う店が出店している。AEON黄埔店の健康工房にて

市場や漢方薬剤店でも涼茶をお家で作れる薬材が売られています。飲料だけでなくスープやお粥、スイーツなど口にするものすべて薬であると考えられます。

海天堂、感冒茶で早めの風邪ケア

香港の蒸し暑い気候には涼茶は欠かせない飲み物です。熱を取るという薬効に加え、喉が痛い、胃腸の調子が悪い、肌荒れなど様々な症状に応じて、またお店独自のブレンドの漢方ドリンクが多くあり、お好みの味も選べます。お味は概ね漢方薬を飲んだことがある方なら想像できるアノ味。温度も温く、けっしておいしいとは言えません。定説通り「良薬は口に苦し」と言い聞かせ一気に飲むのがおススメです。

店頭には取扱いメニューが並ぶ。漢方の知識が少なくても漢字のネーミングで意味合いが伝わってくる

香港の涼茶舗のスタンダード商品といえば24種類の漢方を煎じた廿四味茶。体内の熱を取り除き消化を促します。また旅先の便秘には火麻仁。胃腸を整える５種類の漢方を煎じた五花茶は甘みがあり廿四味茶より飲みやすくなっています。

まずは初日、飛び込んだのは旺角の『海天堂』。出発前から喉に少し痛みがあり、またフライトで強張った身体を解したいと伝えると『感冒茶（HKD ＄25）』をススメられました。初期の風邪に作用するお茶です。

漢方ドリンクは店頭で飲む人もいれば店内で座って飲む人、持ち帰りの人と様々

少し苦みのある褐色の液体を恐るおそる飲み干しホテルでひと眠りすると疲れも取れ、夕方には回復でき威力を実感できました。

海天堂　旺角通菜街店
住所：九龍旺角通菜街123號Ｃ
電話：＋852 2396 8528
営業時間：10:00～24:00
定休日：無休
URL：http://www.hoitintong.com.hk

香港は冷房がキツイということでも有名ですね。冷えを感じたらすぐにこの感冒茶を飲みに行くといいですよ。

亀ゼリーの老舗、恭和堂で食べる香港最強スイーツ

『亀苓膏』という亀の甲羅の内側を干して粉末にしたものに土茯苓ほか数種の漢方薬を加えて蒸した亀ゼリーが涼茶舗の名物です。これは夏バテや便秘、美肌やデトックス効果があるだけでなく、あらゆる症状に対して万能と信じているのだとか。週に１度程頂けば体調維持に繋がります。

亀ゼリーは店によって大中小のサイズがあり、通常テイクアウトもできる

そこで訪ねたいのが香港最古の亀ゼリーの老舗『恭和堂』。清熱去濕亀苓膏（HKD ＄54）をオーダーしました。甲羅のコラーゲンによって固められているのでレンゲを差し込むと強い弾力があり、噛むと歯ごたえを覚えます。生薬の独特の苦みがあるので一緒に出されるシロップをかけて頂きます。

恭和堂旺角店
住所：九龍旺角通菜街61號A地下
電話：＋852 2780 4970
営業時間：12:00～23:30
定休日：無休
URL：http://www.kungwotong.com.hk

この苦み、なかなか癖になる味わい。むしろ微かにおいしく感じるので身体が求めていた成分が含まれていたようです。コラーゲンのおかげでタンパク質も豊富。肌にハリ、ツヤを感じる方もいるのだとか。香港美人の素ともいえます。涼茶舗によって風味も変わるので食べ比べしてみるのもいいでしょう。缶詰なども販売されているのでお土産にもどうぞ。

フォトジェニックな涼茶舗　公利真料竹蔗水

今、香港で注目を集めているのが「アート」。2014年からアジア最大級のアートの見本市『アート・バーゼル香港』が開催されるようになって以降、アート熱は高まる一方。ＭＴＲの駅、ランドマーク、街中の建物の壁や塀にはストリート・アートと呼ばれる絵が描かれ、観光しながら近代美術に触れることができます。中でも香港島の中環（セントラル）エリアはその坩堝。でも、この地区、坂や階段が多く割と難関。そこでマークしておきたいのがやっぱり涼茶舗です。

1948年創業の老舗。「真科竹蔗水」とは「天然のサトウキビジュース」の意味

細長くレトロなビルの佇まいが目を引く『公利　真料竹蔗水』。フォトジェニックなこの店のイチ押しは、サトウキビを絞った100％のフレッシュジュースです。

公利　真料竹蔗水
住所：中環蘇豪荷李活道60號地下
G/F, 60 Hollywood Road, SOHO, Central
電話：＋852 2544 3571
営業時間：11:00～23:00
URL：https://www.facebook.com/kungleeherbaltea

ペットボトルに入った持ち帰り用はHKD ＄35

サトウキビジュース（HKD ＄13）は熱を取り去り、喉と身体を潤してくれます。水溶性・不溶性食物繊維、キシオリゴ糖などが豊富なので腸内を整えるばかりでなく、血糖値の急な上昇を抑え、ダイエットを邪魔しません。日本では珍しいサトウキビゼリーもあります。

『公利　真料竹蔗水』の亀ゼリー。こちらも人気で名店に数えられる

仕事や予定を片付けつつの旅立ちはなかなかの試練。楽しいはずの旅行ですが現地に着くと疲労感を感じている……なんてことも少なくありません。そして実は普段体調を客観視できていなこと、ありませんか？だからこそ旅先で無理をしがちです。涼茶舗は街角のあちらこちらにあるので旅行を充実したものにし自分を労わり、強くするためにもホンコンニーズを真似て体調管理に努めましょう。